人工芝の歴史
景観用人工芝はリアルターフとも呼ばれ、近年急速な普及をみせています。ホームセンターでの取り扱いも増え、一般の方々が人工芝を目にする機会が増えたこともその一因かと思います。
人工芝が登場したのは1960年代、米国メジャーリーグのヒューストン・アストロズの本拠地アストロドームでの使用であったといわれています。国内では1970年代に現在の東京ドームの前身である後楽園球場で採用されました。汎用性も含めればこれ以前にも使用実績はあったのでしょうが、国内外問わず人工芝は主に競技用として普及、発展していきました。
当初の人工芝は見た目、質感ともカーペットに近く、事実その製造過程はカーペットのそれとほぼ同じであることから、国内で人工芝の製造を行っているメーカーはそのほとんどが織物生産工場でもあります。
1980年代にはいると、主にテニスコートでの使用を目的とした砂入り人工芝が登場し、これはその開発の経緯からオムニコートとも呼ばれ、砂入り人工芝の代名詞ともなり、その後国内において爆発的に普及していきました。
1990年代にはロングパイル人工芝が登場し、Jリーグ発足からのサッカー人気やフットサルの普及も相まって、これも全国的に広まっていきました。ここまでは人工芝の進化はすべて競技用としてであり、施工の難易度やメンテナンスの煩雑さから、一般家庭でテラスや屋上などにカーペット的な人工芝を敷くことはあっても、競技用人工芝を庭に施工する例はごく稀でした。
2000年代に入るとロングパイルの充填剤である珪砂とゴムチップの代わりに、捲縮パイルをストレートパイルとタフトした人工芝が現れました。これが現在景観用人工芝、リアルターフとして認知されているものになり、その見た目の美しさと施工やメンテナンスでの扱いやすさから、現在の急速な普及につながっています。